斜面の土砂崩れ対策

田畑の土手や住宅地の斜面など、傾斜地では、大雨により、土が流出したり、土砂崩れが起こる恐れがあります。

こうした問題が発生したとき、まず考えられるのは原状回復ですが、流出分の土を補充して問題発生前の状態に戻すだけでは、同じ問題が再発する可能性が大。

そこで採用されるのが、土留めです。

土留めとは、文字通り「土を止めるもの」で、斜面や段差の崩壊を防止するために設置される構造物を言います。
読み方は、どどめつちどめの二通りがあり、どちらも上述の意味で使用されます。

一口に土留めと言っても、形や構築方法は様々です。
土嚢(どのう)積みや丸太積みのように簡素なものもありますが、コンクリートや石材を用いた本格的なものもあります。

なお、草を用いて斜面を保護し、土砂崩れを防止しようとする「草止め(くさどめ)」という方法もあります。


「斜面の土砂崩れ対策」のページでは、田畑の土手や住宅地の斜面の土砂崩れに対し、個人が DIYレベルで実施可能な対策を紹介していきます。



草止め


草止め(くさどめ)とは、草や木を用いて地面を保護し、土の流出や土砂崩れを防止しようとする方法を言います。

具体的には、下記の意味で「草止め」という語が使用されています。
  • 河川や用水路に土俵と木杭などで堤を作ること
  • 傾斜地に草や木を植えて表土を固定させること

河川や水路沿いの土地では、近所に草止めの川堤があるか、かつては存在していたかもしれません。

草や木を植えて土砂流出を防ぐ意味での 草止めは、傾斜地にある宅地や田畑の土手で、現在でも珍しくありません。

ただし、傾斜のきつい場所では、草や木を植えるだけでは土砂崩落を防ぐには力不足です。
土が固い場所でも、角度が 45度以上の斜面では、鋼材などで土壁を補強したり、木杭や矢板で支える必要があります。

草止め目的の植物として、萱(カヤ)や芝がよく使用されます。
他に、リュウノヒゲやヒメイワダレソウなど、グランドカバー向けの植物のうち、深く根を張るものが採用されることもあります。

なお、現在の日本では、防草シートなどを使って雑草の繁殖を止めることを「草止め」ということがあります。



土嚢積み


斜面の土砂崩れ対策では、主に応急処置で土嚢(どのう)がよく利用されます。

土嚢とは、布袋の中に土砂を詰めて用いる土木資材です。
袋に土を詰めて固まりにすることによって、より大きな力に耐えることが出来るようになります。

斜面の軽微な崩れに対しては、少し土を削ってから土嚢を置き、上に盛り土するだけの補修が行われることが珍しくありません。

ただ、補修の規模や勾配によっては、ただ積み上げるだけでは不安定になり、水の勢いで崩れてしまう危険があります。
積み方を工夫したり、積んだ土嚢を防水シートで覆うなど、全体の強度を確保する必要があります。

状況によっては、土嚢を積むだけでは不足で、木杭と矢板を併用することも考えられます。
また、上流に土嚢を積み、水の流れを変えることで土砂崩れを防ぐ手もあります。

なお、土嚢袋としては、かつては麻袋が一般的でしたが、現在ではポリエチレン製が主流です。
ただ、ポリエチレン製は自然に還りませんので、袋が破れた後、ごみが残ります。

近頃では、生分解性プラスチックなどで編んだ土嚢袋も市販されています。
この素材は自然界の微生物によって分解し、無害な物質になります。

生分解性プラスチックの袋に草の種と肥料を組み合わせた「植生土嚢」というものもあり、導入が進んできています。



丸太積み


丸太積み(まるたづみ)の土留めとは、円柱状の間伐材を井桁状に組んだ木製構造物です。
金属製の部材を中心にした構造物に比べ、強度は劣りますが、環境になじみやすいのが特長です。

緩やかな傾斜地の場合、丸太で組んだ構造物の間で根の強い植物を栽培すれば、丸太が土に還る頃には、斜面の土を保護する草止めとなります。

急傾斜の区域でも丸太組みによる土止めが多く採用されてます。

ただ、土と接した状態の木材は、腐食などにより、数年で強度がかなり劣化します。
定期的に強度劣化状況の確認を行い、痛んだ丸太を交換するべきでしょう。



石積み


石積みとは、石を積み上げて建築物を作る方法で、土止め用の壁などを築く際によく採用されます。
昔ながらの工法で、コンクリート擁壁に比べて安価に施工できます。

石積みの施工法には「練積(ねりづみ)」と「空積(からづみ)」があります。
練積みは、石と石の隙間をコンクリートやモルタルで埋める方法で、空積みは、コンクリートやモルタルを使わずに石を積み上げる方法です。

強度は練積みの方が上で、建築基準法では、高さ2メートル以上の石積み擁壁は練積みにする必要があります。
なお、練積み造の擁壁は、高さ5メートルくらいまで積んでもよいとされています。

石積みで建築物を作る際、まず、石を積む斜面の整備を行います。
土の状態を確認し、不安定な部分を切り取ります。

深さ30~50センチくらい溝を掘ります。
石積みの最下段として、根石(ねいし)を溝に置き並べ、割栗石や砕石、あるいは砂利を斜面と積み石の間に積めながら、石を積んでいきます。

地盤が弱い場合、基礎を固めます。
鉄筋コンクリートを敷設する方法や、溝に木杭を打ち、丸太を並べる方法などがあります。





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